成長ホルモン分泌不全について

一昔前、今の親世代が子供の頃は、身長を伸ばす方法といえば、「寝る子は育つ」とか、「牛乳をたくさん飲めば身長が伸びる」というのが定説でした。

事実、この定説はどちらも歴としたもので、睡眠は身長を伸ばすために大変重要なことですし、牛乳に含まれるカルシウムは骨を育てるために欠かすことのできないものです。

しかしこの説に則って、たくさん牛乳を飲んでたくさん寝ても、身長が伸びなかったという方はいるでしょう。








身長を伸ばすためのカギはもっと根本的なところにあります。

身長を伸ばすために睡眠やカルシウムは必要不可欠ですが、睡眠をしっかり取って、牛乳や小魚を食べるなど、カルシウムを十分に摂取していても、ある物質が不足していると身長は伸びません。

その物質とは、人間の脳下垂体から分泌される、「成長ホルモン」です。

身長を伸ばすための他の全ての条件が揃っていたとしても、成長ホルモン足りなければ身長は思うように伸びないのです。








みなさんは身長が伸びるメカニズムを知っていますか?身長が伸びるメカニズムとは、成長ホルモンが分泌されるところから始まります。

脳下垂体から成長ホルモンが分泌されると、肝臓に作用してIGF-1(ソマトメジンC)という物質が分泌されます。

IGF-1は骨の両端にある「骨端線」という部分に作用して、骨端線にある軟骨芽細胞が増殖、成長を始め、それによって骨端線部分が膨張し、骨が伸びてきます。

身長が伸びるということは、つまりは骨が伸びることなのです。

これが身長が伸びるメカニズムです。








カルシウムは、昔から身長を伸ばす栄養素と言われているのは有名ですよね。

カルシウムは、骨端線で軟骨芽細胞が増殖、成長し、骨を伸ばしていく時の材料になります。

骨の材料となる栄養素にはカルシウムの他にも、リン酸、タンパク質(タンパク質からなるコラーゲン)などがあります。

あまり知られていませんが、マグネシウムや亜鉛も欠かすことのできない栄養素の一つです。








栄養素をいくら摂取しても、前述した「身長が伸びるメカニズム」を見ていただければわかるように、「成長ホルモン」の分泌なくしては、骨の成長はありません。

特に、成長ホルモンが分泌されるのは「睡眠中」と「運動した後」なので、睡眠をしっかり取ることは身長を伸ばすためには有効と言えます。

「寝る子は育つ」の秘密はここにあるのです。








以前は、身長と成長ホルモンの密接な関係については、一部の医療従事者にしか知られていませんでしたが、最近では一般の人々にも浸透してきました。

今の子供たちの世代では、身長を伸ばす方法といえば、まず成長ホルモンの分泌を良くするための生活習慣を身に付ける、というのが定説になりつつあります。

「寝る子は育つ」の真意がそこに含まれていることも、多くの方が知っていると思います。








ところが良い生活習慣を行なっていても、成長ホルモンの分泌が極めて悪く、治療を必要とする場合があります。

成長期の子供の成長ホルモン分泌が低下すると、骨の成長および身長の伸びが妨げられ、「低身長」と呼ばれる症状を引き起こすことがあります。

これを「成長ホルモン分泌不全性低身長症」といいます。

お子さんがまだ成長が止まる年齢ではないのに身長が急に伸びなくなったり、他の子と比べて極端に背が低いなどの状態にあるようなら、低身長の可能性を考え、早めに小児科を受診するのが良いでしょう。

早期発見、早期治療が、改善への鍵になります。








本来、成長ホルモンの分泌量は、成長期を過ぎると減少していくものではありますが、著しく不足した場合には、大人の身体にもトラブルが現れる場合があります。

このように成長ホルモン分泌不全は、子供だけでなく大人にも起こります。

それは、、成長ホルモンというのは身長を伸ばすだけでなく、人間の身体を若々しく健康に保つための働きを持っているからです。

成長ホルモンは、子供にとっても大人にとっても、欠かすことのできない大変重要な物質なのです。